「……hello?」



ポストから部屋に戻りながら、会社に電話をかけて。タイミングよく受けてくれたボスに、どうにか都合をつけられないかと問う。


スケジュールを開ける為なら、無理があっても、なんでも請け負う覚悟ではいたけど、案外サクッとOKが出た。




それも、なんと1ヶ月。


どうやら丁度、日本支社と連動しながら、遂行しなければならない案件があったらしく、市場のリサーチ等も兼ねて、出張の話があがっていたとのこと。





「よし。そしたら百合や結愛に連絡して……

凛花には、来なくていいとか言われそうだから、当日までシークレットにしてもらおう」




思わず、iPhoneを片手に軽く拳を握ってしまった。


電話を切り上げて、カレンダー機能を開きながら、その日までのタスクを頭に描く。




イベント当日までは、約1ヶ月。

仕事と並行して、長期出張の準備と、諸々を進めなきゃいけなくなる。


日本支社の人達に、家族や友人達。そして、凛花や凛花の家族にも、プレゼントしたいものが溢れていて、その辺は、リストアップからはじめた方が良さそうだ。




「あと、泊まるところは……。

凛花を頼るのは違うからな。ちゃんとしておこう」




浮き足立つ気持ちを抑えられずに、つい、これからのプランが口からこぼれてしまう。


この類いの多忙なら、いつだっていくらだって大歓迎だと。弾む気持ちに、奏でずにはいられない鼻歌が、部屋の空気をより陽気にする。