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「……まっ…て」
確実に俺の下で快楽に悶えていた凛花が、驚くほどに強い力で、先へ進むことを拒んだ。
衝動を掻き立てるような涙目で、訴えかけてくる彼女の瞳は、閉じていた中で、誰を想っていたのか。
安易にできてしまう予測に苛立ってしまうのは、オトコであればしょうがないのだろう。
気持ちよくしているのは、俺なのに。
最中に違うオトコを想われるほど、男にとって屈辱的なことはない。
「私のこと、好きじゃないよね」
「お互い様じゃない?」
そのくせ、俺にだけ愛情を求める彼女は、やはり勝手なオンナなのだろう。
それでも知りたくなってしまうのは、ここまで自分を貫くオンナに出会ったことがないからだった。
陽人、というオトコの手を選ばないのであれば、とっとと忘れて他のオトコと幸せになればいい。
だけど彼女がその道を進まないことも、彼女の中から陽人という男が消えないことも、分かりきっていた。だからこそ、余計に。
彼女をめちゃくちゃに抱いてしまいたかった。
意志の強そうな瞳に、似つかわしくない涙が溜まる理由は、俺が与える絶頂だけでありたかった。