あなたは強いです。

言いたいのに、言えないよ。

また呪いたくなるような障害に阻まれるんだ。

「そういえば、舞ちゃん言ってました。
鈴野さんは、とてもお姉さんに似ているって。」

伝えたい、という思考が止まるくらい、驚いた。

確かに何故私に相談に来たのか知らなかった。

「あ、顔とかじゃなくて、オーラがそんな感じがするって言ってましたよ。」

崎村くんはそう言うと、にこりと笑ってまた手を動かし始めた。

不思議な事言う子だなぁ。

舞ちゃんって。

私も手を動かそう、と下に俯いた。

その時、

視界にきらりと何かが見えた。

街灯に反射しながら。

私はゆっくりと目をこらしながら近づいて、それを手に取った。

それは

紛れも無く

鍵だった。

私はそっと、隣に居る彼をつついた。

「え・・・あ、あったぁぁ!!」

純粋に驚きつつも嬉しげな彼に、少し笑いそうになった。

「本当に、本当に、ありがとうございます!!」

深々と頭を下げる彼に、私も吊られて頭を下げる。

顔を上げて、私と崎村くんは笑った。

ひゅるり。

夜風が私達を包んで、

しあわせ

を運んでくる。

こんな些細な事なのに

微笑み合っているだけなのに

しあわせです。