時間が経つと

汗が頬を伝わり、地面にぽとりと落ちていく。

私の気持ちもだんだんと落ちていく。

夕焼けが漆黒に染められそうな、空がそんな色をしているさなか、私達は空を仰ぐなんて暇も無く、必死に地面とにらめっこしている。

鍵は未だ行方不明。

「あの、本当にいいですから。大丈夫ですから」

崎村くんはさっきから同じ言葉を何回も繰り返す。

私はただただ首を振る。

このような状況がずっと続いている。

ずっと続けばいいのにな。

我ながらわがままだ。

私は心の中で苦笑する。

本当に私、
彼が好きみたい。

ちらりと隣に屈んでいる彼を見る。

弾む心も、

澄んだ空の色も、

メロンパンのおいしさも、

恋する気持ちも。

全部全部、

あなたが教えてくれた。

だから

助けてあげたいって思ったんだろうな。

好き

だけじゃなくてさ。

ありがとう

って伝えたいんだ。

私は何となく、近くに生えている花を指でつついた。

ほら
これもこんなに愛おしいって感じるよ。

「・・・見つからないなぁ。」

ぼそりと崎村くんが呟いた。

私は崎村くんの方を見る。

目が合って、視線が交わる。

私はすぐに俯いてしまった。

もう
こんなに近くいる事なんて、無いかもしれないんだろうな。

そう思うと涙が込み上げそうになる。