亜由美さんはスカートについたおせんべいのかすを払いながら

「なんかね。あの女、車の鍵無くしたらしいの。
それでちょっと拓郎くんが注意したらさ、すぐにキレちゃって・・・

って、響子ちゃん!?」

私は走り出していた。

好き

という想いが原動力となっていて

困っている彼を

助けたい。

という思いが膨らんでいて。

私は

弱くって、ちっぽけだけど、

だからこそ

あなたの力になりたいんです。

彼の元に着くまで、それほど時間はかからなかった。

車の側に屈み込んで必死に鍵を探している。

私は自分を奮い立たせ、ゆっくりと近づく。

「あ!!鈴野さんっ」

顔をあげた彼の顔には、夏の暑さのせいで、汗を大量にかいている。

私はすばやく彼の近くに屈み込み、茂みをあさる。

「あ、いいです!!大丈夫ですから!!」

そんな彼の制しに対して、大きく首を振り、鍵を探し続ける。

「ほ、本当に、あの・・・
すいません」

彼は深々と頭を下げると、今度は私の隣に屈み込んだ。

私、手伝いますから。

だから

だから
もうちょっと隣に居させて下さい。

・・・こんな想い

きっと伝わっていないんだろうな。

伝わるはずないんだから。