暑さのせいで頭が上手く回らない。

えーと、
あ、そうだ。
私、お手紙の返事どうしようか悩んでたんだ。

崎村くんからのは一応疑問文だった訳だし。

返事をするのが礼儀だよね。
うん。

返事は二つに一つ。

『私は声が出ません。それでもよかったらいつでも来て下さい。』

『来ないで下さい。』

うわー。
我ながら下のは酷いな。

でも
簡単に言えばこの二つしか選択肢はないし。

炎天下の中、私はおやじ座りで腕を組んで、ときたま頭を掻きむしった。

わからない。

会いたいけれど、私の障害を伝えないというのは

難しい。

いや

不可能かもしれない。

出会ってしまえば必然的に会話が生まれてしまうんだから。

私は大の字になりながら、再び仰向けになる。

このままここにいても仕方ない。

もう戻らないと亜由美さんに怒られちゃう。

私は軽く伸びをしてから起き上がった。

しっかりとパノラマの空を目に焼き付けて。