手をのばすと

いつも窓から見ていた小さな空ではなくて、

大きなパノラマ写真のような透き通った空が、360゚私の周りに広がっていた。

私は今屋上にいる。

何故だろう。
私は悲しんだり、悩んだりする時、必ずと言っていいほど屋上のような高い所に来てしまう。

微かな記憶の断片では。

もしかしたら

空に近付きたいのかもしれない。

もっともっと

大きくて強い心を持ちたいって。

誰もが思う願いを

ただ空に託しているだけかもしれない。

自分の気持ちは
自分が1番よくわかると言うけれど、

私は
自分の気持ちが1番わからない。

私はそのままごろりと仰向けに寝転がった。

コンクリートが熱を帯びていて、パジャマ越しでもそれは伝わってくる。

上からは夏の太陽が照り付けて、さっきまで私の頬を濡らしていた涙を、空気へと変えていった。

・・・そういえば。
私、なにしに来たんだろう。