締め切られた病室のベットの上で、声を出さずに

ただ、ひっそりと。

泣いていた。

カツカツカツ・・・

「響子ちゃーん。
もう食べたぁ〜?」

亜由美さんが近づいて来る足音がする。

「聞いてるっ?
ってもぉー・・・」

私は瞬時に紙袋を抱えてベットに潜り込んでいた。

「寝てるの?」

そんな私に亜由美さんが訝しいげな声をかけ、掛け布団をめくろうとした。

その時、

「亜由美ちゃん!!
早く片付けてこっち手伝って!!」

後方から、少し歳老いた看護婦さんの声がする。

「あ、はーい」

めんどくさそうに亜由美さんは答えると、私の昼食を提げてそそくさと去っていった。

数秒後、
私はのそのそとベットから這い出した。

ぐしゃぐしゃになった髪型を整えて、三度窓の外を見てみた。

そこには
いつもみたいに子供と遊ぶ彼はいなくて、
木陰のベンチで黒髪の美女としゃべっていた。
ーーーーーーー笑っていた。

私は音をたてずに窓と、そしてカーテンまでも

閉めた。

私は
あなたの隣で
ーーーーーーー笑えない。

また
ぼろりと涙が出た。