昼食を黙々と摂りながら、外を見ていた。

仲良くする2人を見てたって、心の傷を広げていくだけなのに。

好きだから。

好きだからこんなにも見つめてしまうのかな。

隣の子が彼女と決まった訳じゃないけど、

お似合いすぎだよ。

吹き込んでくる風に、レースのカーテンがゆらゆら揺れる。

今は、この気持ちのいい気候が皮肉にしか感じられなくなっていた。

こんな私、ただのワガママだな、なんて思っていたら、

「響子ちゃーん!!」

突然私を呼ぶ声にびっくりし、外に身を乗り出すと、

そこには、

舞ちゃんと、

崎村くん。

そして
黒髪の美女。

「あの、ありがとうございますっ!!
舞ちゃんがお世話になったみたいで・・・。」

崎村くんがぺこりと頭を下げた。

私はぶんぶんと首を振る。

私、そんな、全然ためになるような事してませんっ

という意味を込めて。

「それで、お礼といってはなんですが・・・」

茶色い紙袋を抱えている。

なんだか出会った時みたい・・・。

「拓兄、超真面目じゃん」

舞ちゃんがケタケタと笑っている。

「うるさいっ!!
あ、じゃあ渡します」

そんな二人の隣で、黒髪の美女はつまんなそうに突っ立っている。


ふわり

崎村くんが紙袋を投げた。

それは、出会った時の残像と重なって、

何も変わっていないはずなのに、

少しずつ
何かが
ーーーーーーー変わっていってる。

綺麗に私の腕にそれは収まった。

私は拍手する。

崎村くんは

「ありがとうございましたっ!!」

と言い、輝く笑顔で去っていく。

遠く、遠く。

彼を見つめながら、私は潰れるんじゃないか、ってくらい温かい紙袋を抱きしめていた。

これを開いたら

時間を戻してくれないかな。

出会った頃に。