「何してんのっ?」

ガチャリと昼食を机に置く音がする。

亜由美さんだ。

私はそのまま潜り込んでいるつもりだったが、亜由美さんに引っぺがされてしまった。

「暑いのに布団なんか被って!!」

私はむくりと起き上がると、仕方なく昼食に手を伸ばす。

ちらりと窓を見ると、

それは幻なんかじゃなくて、

とっても輝いて見える2人がいた。

亜由美さんがその様子に気付き、私に続き、窓の外を覗き込んだ。

そして

「はっはぁーん」

わかったぞ、と言いたげな亜由美さんに私は小さな焦りを感じた。

そんな彼女は閉めたばかりの窓を勢いよく開け、

「響子ちゃん!!
言いたい事は言わないと!!
後悔しか残んないよ?」

周りに聞こえる、とかそんな事よりも、

最後の言葉に

私の胸がギュッと締め付けられた。

「じゃっ
後で回収に来るねっ」

爽やかな笑顔で去っていく亜由美さん。

私はその背中をじっと見つめながら、ぎゅっと拳をにぎりしめた。

わかってるよ。

ただ、伝える術が

わからないんだ。

霞んでしまうくらい彼の存在が遠すぎて、

世界が違いすぎて、

伝える勇気すら

私には無いんだ。

弱いなぁ。