周りが暗い。
薄ぼんやりとした視界からだんだんクリアに見えてくる。

ふぅっと頬にやわらかな風の感触がした。

いつもの窓から吹き込んでくる風と同じだ。

私・・・どうなったんだっけ?

「響子ちゃん!!
本当に驚いたわよ!!
突然倒れちゃうんだもの」

看護婦さんが窓を閉めながらそう言った。

空は紺色になっている。

もう、夜になっちゃったんだ・・・。

時間の経過をひしひしと感じながら、もう一度頭を捻ってみる。

私、倒れちゃったみたい。

でも、なんでか思い出せない。

気が付くと看護婦はその場にいなくなっていて、私は漆黒の闇の中、一人ベットに横になっていた。

差し込む光は遮られた窓の向こう側にある星だけ。

無意識に天井に手を伸ばし、そのままぱたんと下ろす。

私の手は何かを求めた。
けれどそれが何かわからないんだ。

自分が
自分をだんだん見失っていくようで、なんか怖いよ。

怖いよ・・・。

私はそのまま目をつぶった。
無理矢理、自分を寝かしつけ。