「この前、
舞の所にお姉ちゃん来ないかなって、ちょっと拓兄に言ってみたんだ。

舞のお姉ちゃんはね、大学生で背が高くて、頭がいいの!!
で、ふざけて言ってみたんだよ。
そしたら拓兄、
『来るよ!!』って。
舞の来週の誕生日には必ず来るって。」

舞ちゃんは何故か悲しげな笑みを浮かべて、

「馬鹿だよねー。
だってさ、だってさ
舞のお姉ちゃん、

死んじゃったのに。」

一瞬、

時間が止まったのかと思った。

あまりの衝撃に、何も反応出来なかった。

彼女は、

舞ちゃんは、

とても淡々としている。

小学3年生ほどの少女が、この現実を受け止めているのだ。

私だったら、

頭おかしくなりそうだ。

「拓兄は知らないから、真面目に、
『変な期待させちゃってごめんね』って謝ったんだよ。
・・・本当だよ。
舞、期待しちゃったんだから。
お姉ちゃん、帰ってくるのかなって」

顔をくしゃくしゃにしながら泣いているのを我慢している舞ちゃんを見てると、私の心にも
ひゅうひゅう
とすき間風が入り込んで、

悲しくなった。