「あの二人さ、マフィアの連中に家族を殺されていてね。拷問死の被害者は全員マフィアで、「あいつらは受けるべき裁きを受けたんだ!」って話してたよ。ちなみに、ロンもマフィアに人生ボロボロにされたからマフィアを恨んでる。あの事件を喜んでいるよ」

店員がそっとロンを見たため、フィオナも自然とその目線の先を見る。ロンは少し離れたテーブルでお客の注文を聞いていた。しかし、フィオナの先ほどの質問が聞こえてしまったのか、どこか嬉しそうだ。

「まあ、そういうことだから気を付けてよ。あと、花屋の店主さんとアンズ・ホーリーさんって主婦にもこの事件の話は禁句だからな〜!」

料理を並べた後、店員はそう言って去っていく。フィオナたちは料理に手をつけず、「さっきの言葉って……」と真剣に話し始めた。

「この街にはマフィアを恨んでいる人がいる。でも、被害者がマフィアだなんて一体どうやって知ったんでしょうか……」とサルビア。

「あたし、シオンさんに被害者がマフィア関係者かどうか調べてほしいとお願いしてみます!」とレティシア。

「でも、マフィアを恨んでるからって犯人がこんな身近にいるとは限らないでしょ?」とエヴァン。

「ええ、そこは慎重に調べないといけないわ。でも、もしあのマフィアを恨んでいる人間の中に犯人がいたとすれば、マーティー・ブラックローズと繋がっている人物ということになる……」