「いらっしゃいませ!あれ?見ない顔ですね……」

お客の来店に反応した店員の一人がやってくる。そばかすのある童顔にブラウンの癖っ毛が特徴的だ。レストランの制服に付けられた名札には、「ロン・クローバー」と名前が書かれている。

「観光で来たんです」

エヴァンが答えると、ロンは「そうなんですか!」と人懐っこい笑顔を見せ、このレストランの人気メニューなどを教えてくれた。そして、その笑顔は申し訳なさそうなものに変わる。

「ただ今、店内が混み合っておりまして、もしよろしければ相席でも大丈夫ですか?」

「大丈夫よ」

レティシアがそう言うと、ロンはホッとした顔を見せて席に案内してくれた。厨房から一番近いテーブルだ。二人の男性が座っている。

「すみません、相席よろしいでしょうか?」

ロンがそう言うと、親しげに話していた男性二人は顔を上げた。一人は日焼けしたガタイのいい中年ほどの男性で、もう一人は色白でメガネをかけている。とても対照的だ。