配られた資料には、惨殺された遺体の写真などはなかった。そのことにフィオナはホッとする。生きたまま虫に体を食われ、汚物とはちみつまみれになった遺体など、発見した人間も捜査官もトラウマになったはずだ。

「どうやら、この街では黒いバラの花びら事件がいくつか起きているようだ。この街で起きている事件の共通点と言えば、拷問によって全員惨殺されているということだろう」

資料に載せられた他の事件について、フィオナは目を通す。ラック、コウノトリ、アイアン・メイデン、ユダのゆりかご、ファラリスの雄牛、ガロットなど、苦痛に長く苦しみ死ぬ拷問の名前ばかりが書かれている。

「……ここに書いてある拷問方法、誰も知らないけどフィオナたちの顔色を見たら恐ろしいものだって言うのは想像できるわ」

レティシアが真っ青な顔で言い、街に行くメンバーを決めることになった。



翌日、恐ろしい惨劇があった街には、フィオナとエヴァン、そしてレティシアとサルビアの姿があった。

街は一見、緑豊かで穏やかそうに見える。街を歩く人も幸せそうだ。