目の前がグラリと揺れて倒れそうになったそのときだった。


「やめなよ!」


鈴の音が聞こえてきた。


クラスの張り詰めた空気が弛緩するのがわかった。


「そういうのやめなよ。知奈ちゃんだって悪気があったわけじゃないんだよ」


それは別のクラスメートの声だった。


「な、なによあんたたち」


坂下さんがたじどぐのがわかり、強いめまいが薄れていく。


緊張で忘れていた呼吸を取り戻して、大きく息を吸い込んだ。


「大丈夫だからね知奈ちゃん。ここにいてもいいんだからね」


鈴の音が言う。


私は振り絞った声で「ありがとう」と、伝えたのだった。