まぁ、今のドス黒い私には会ってほしくないけれど。
はるくんの顔が見られたらそれだけで幸せだから。
はるくんには私だということがバレないように、大人っぽくしてきたつもり。
年齢を2歳くらいしか間違えられない程度に。
これまで伸ばしてきた黒髪のストレートを、毛先だけすこし巻いて、
毛先をアッシュグレーに染める。
服装も、大人が着ているのと同じくらいのものを選んだ。
メイクは、あえて大人に見られないように少しだけ子供っぽくして。
…我ながら、すごい。
学校の姿と、まったく違う。
1人じゃ不安だから、親友の琥珀と一緒に行った。
「海月、いつもとぜんぜん違う…」
呆気に取られている琥珀を見て安心した私に、疑問符を浮かべる琥珀。
「ううん、なんでもないよ」
「そう?ならいいけど。困ったことあったら言ってね?」
その言葉に頷き、2人で歩き出す。
なかなかはるくんが見つからなくて、諦めて引き返し、家までもう少し、というその時。
「ねぇ、お姉さんたち。俺と遊ばない?」
「「いえ、結構です」」
見事にハモった私達。
思わず顔を見合わせて、くすっ と笑いが溢れてしまう。