「ごめんね、今日卒業式の片付けあったのに」
「全っ然、いいって。それよか、お礼言われたほうが嬉しい」
「ありがとうっ!!」
涙がまぶたの縁まで溢れてきているのを感じながら、精一杯の笑顔で言った。
…その日から、どれくらい経っただろうか。
まぁ、1年くらい。
なんとか東京にも慣れてきた。
…心の中がドス黒い、都会っ子 ───特にお金持ち─ の恐ろしさも、十分理解してしまった。
なんとか高校1年目の終業式を終え、一段落したとき。
用事を思い出し、今日───4月1日、いわゆるエイプリルフールに、家の近くの渋谷のネオン街を歩く。
もしかしたら、
────はるくんに、会えるかもしれない。