「………びっ、くりした…、」

『…唯ちゃん?どーかした?』

「あっ、いえ、なんでもっ…、」

『そうー?』


またむっくんになんか言われた?と

私の顔を覗き込む忍さんに

私はふるふる、と首を横に振った。


『………香月、』

「は、はいっ、」

『…コーヒー、飲みたい、』


子供がおやつをねだるような顔で

じっと私を見つめる雪村さんは

ほんの少しだけ、可愛く見えて。

私は急いでいつものコーヒーを入れた。