ってそういうことじゃないんだけどな〜…。

なんて思ったけど、ここまで一生懸命作ってくれた彼女たちにこれ以上注文するのは気が引けた。


クラス全員分の衣装を作ってくれていることもあるし、これ以上色々言うのは負担をかけることになるだろう。


そう思い、口を閉じた。

「じゃ、脱いでくれていいよ。当日までにもう少し修正加えとくね」

「うん、ありがとう」


こんな何気ない会話のやり取りが、今のわたしには嬉しくてたまらなかった。


気づけばいつの間にか、こうして普通に話すことができている。

それは他人にとっては当たり前のことなのかもしれないけど、わたしからすると当たり前じゃないことで…


水樹くんから見えないものを貰っていた証拠。


制服に着替え直し教室に入ると、和子と平野くん、それから朝陽の3人で作業をしていた。


2学期に入り、この3人と過ごす時間が増えていたから不思議だ。