苦しそうな与田くんの気持ちが伝わってくる。

でも、その気持ちに応えることはできない。


だって、この修学旅行中に水樹くんに気持ちを伝えるつもりでいる。


「ただ、気持ち伝えときたかっただけだから、返事はいらない。じゃ、行くね」


与田くんはそう言うと去って行く。

返事はいらない…

そう言ったけど、わたしの気持ちを伝えないと。


与田くんの為にも。


「ま、待って、」

与田くんの背中を呼び止めると足を止め、ゆっくり振り向いた。

「与田くん…わたし……ごめんなさいっ。与田くんの気持ちには応えられない。水樹くんが好きだから…。だから、ごめんなさい」


と頭を下げた。

返事を求めてなかった与田くんに、こんなこと言うのは迷惑だったかもしれないけど、ちゃんと気持ちを伝えて断りたかった。


与田くんの気持ち、それからわたしの気持ちを中途半端にしたくなかったから。