「行こ、和子っ」


急いで部屋を出ると、なぜか与田くんが壁にもたれかかりながら立っていた。

「よ、与田くん?」

「…ちょっと話せる?」

「え?あ〜…」


和子に視線を向けると「先に行ってるね?先生には適当に言っとくから」そう言い残し、走って行ってしまった。

与田くんは行かなくて大丈夫なのかな?…

そんなことを思いながら与田くんに視線を戻すと「場所移動しよ」と歩いて行く。


渋々その背中を追うと、誰もいない広場にやってきた。


「ごめん、急に」

与田くんは振り返るなり、少し気まずそうな表情を浮かべていた。

「ううん。それよりどうしたの?」


まさかこのタイミングで話すことになるとは思ってなかったから気持ちが追いつかない。


「率直に言うと、俺…やっぱり夏目さんのことが好き」