それから1時間、水樹くんは寝息を立てたまま、沖縄に着くまでほんとに起きなかった。

「和子、もう大丈夫なの?」

飛行機をおり点呼が行われると、少しずつ顔色が戻ってきた和子。


「うん、落ち着いてきた。ごめんね?ありがとう」

「ううん。それよりこれ、渡しとくね」

ポケットから酔い止めの薬を出すと和子に渡した。


帰りの飛行機で役に立つといいんだけど。


「ありがとう」

と向けられた和子の笑顔はいつも通りで安心する。


そして、すぐにこれからの流れの説明が始まった。

先生たちの話しに耳を傾けつつ、隣のクラスから聞こえてくる、声を押し殺した笑い声が気になっていた。

見ると、水樹くんを中心に数人の男女が小声でやり取りをしてはクスクスと笑っている。


すごく楽しそうだ。


いつでもどこでも水樹くんは人気者だね。