「またイジメられたくなかったら、大人しく慧先輩から離れてください」

「…それはできない…。わたしには水樹くんが必要なの……水樹くんがいないとダメだから」


彼女の目を見てそう言った。

本当はまだ言いたいことたくさんあったけど、気持ちが膨らみすぎて言葉が追いつかない。

「知らないからっ」

そう言った彼女の声は怒りからか、トーンが下がったように聞こえ…


それは一瞬の出来事だった。


気づくとお尻に衝撃が走っていて、次第に痛みが…。

どうやら思いっきり押されたようだ。

その勢いに負け、尻もちをついていた。


「紗良ちゃん!?」


彼女を見上げたと同時に聞こえた声にドキッとする。

きっと、それは彼女も同じだったはず。


水樹くんは勢いよく駆け寄ってくると「大丈夫!?」と心配そうに顔を覗き込んできた。

「大丈夫だから」