唇に何かが触れた。

でも、その何かっていうのはすぐに理解できた。


わたし、今水樹くんとキス…してる。


ドキドキドキドキ……

心臓の音が聞こえないかと心配になるほどうるさい。

「…っ……」

されるがままの状態で、どれくらい時間が経っただろう?


きっと、時間にすればそれは短いんだろうけど、わたしの中ではかなり長く感じた。


「…ごめん…」

離れると水樹くんは謝ってきた。

そこは謝らないでほしかったんだけどな。


「ううん…だ、大丈夫」

「っはぁ、俺まじで何してんだろ!…自分で中途半端は嫌とか言ったのにね」


と苦笑いを浮かべる。

「水樹くん、ケーキ食べに行こ?」

何とかこの雰囲気を崩したくて、どうでもいいケーキのお誘いをした。