申し訳なさそうな顔をしながら近づいてきた水樹くんに「あるけど…?」と返事をする。


「今日、日誌当番ってことすっかり忘れてて、今から書かないとなんだけど付き合ってくれる?」

手を合わせてお願いしてくる水樹くんに笑顔で頷いた。


「ありがとう。じゃ、行こ」

「え?行くって?」

どこに?


「俺の教室で待っててくれたらいいから」

そう言うと、わたしのリュックを持ち、もう片手で腕を掴まれた。

そのまま隣の教室に連れて行かれる。


水樹くんの教室に入るのは初めてだったし、見るとまだ数人の女子が楽しそうに会話をしている。

水樹くんに手を引かれたわたしの存在に気づいた女子たちにそっと頭を下げると、向こうも頭を下げてくれた。


「はい、ここ座って待ってて」

と水樹くんは自分の席の隣の席の椅子を引くと、そこに無理矢理座らせられた。

誰かわからないけどお借りします、と心の中で呟く。


「ごめんね、すぐ終わらせるから」

と言いながら日誌を開く水樹くんに視線を送る。