「お、うまくいったんだ?」


遠くから様子を見てくれていた平野くんが声をかけてきた。

「逞たちの視線がずっと邪魔で仕方なかったよ」

水樹くんはそう言いながら平野くんを睨む。


2人のやり取りに耳を傾けながら、ふと振り返ると和子と朝陽が話し込んでいる姿が見えた。


その瞬間に悟る。

和子、朝陽を誘ってるんだ。


やっぱり和子が誘いたかったのは朝陽だったんだね。

気づけば、和子はいつも朝陽を目で追っていた。

それがいつからだったかは覚えてないけど、最近の和子は朝陽を意識していると思っていた。


どうかあの2人が恋人同士になりますように。


そんなことを思いながら見つめていると…

「あいつのこと見すぎ」

と水樹くん。

見ると、いつの間にか平野くんはいなくなっていた。


「俺たちも教室戻ろ?」