「これで修学旅行の説明会を終わります」

司会進行の先生の声に腰を上げる。

1時間半と長々とあった説明会に疲れを感じていると「紗良、」と和子から背中を軽く押された。


「早くしないと慧くん行っちゃうよ」

見ると、ゆっくり出口に向かう水樹くんたちの姿が。

「ここで待っててあげるから」


和子がそう言うと、朝陽と平野くんが頷く。

「…行ってくるっ」

3人にそう言うと、水樹くん目掛けて走った。


水樹くんは与田くんたちとの会話で盛り上がっているようだったけど、意を決して名前を呼んだ。


「水樹くんっ、」

少し震えたわたしの声は水樹くんの耳に届いたようでゆっくり振り向く。


だけど、振り向いたのは水樹くんだけではなく…

与田くんを含め、周りにいた友達全員が振り向いた。

まぁ、そうなるよね…。


と痛い視線に耐えながらもう一度「水樹くん、」と名前を呼んだ。