与田くんの言葉に胸が熱くなっていると、平野くんが口を開いた。

「夏目さん帰ろ」

「あ、うん。そうだね」

「じゃ、またな!晴人」


平野くんはそう言うと歩いて行く。

わたしも平野くんの後に続こうとした時…


「夏目さん、」

と与田くんに腕を掴まれた。

驚いたまま与田くんに視線を向けるとパッと腕を離された。

「よ、与田くん?」


何も言わない与田くんに首を傾げる。


「夏目さん、俺……」

そこまで言うと苦しそうな表情をしたまま口を閉じた。

「ごめん、何でもない」


与田くん…?

どうしたんだろう?

「夏目さん?」

与田くんを見つめていると、平野くんの声が聞こえた。