そこまで言うと平野くんは言葉を止め、わたしをジッと見てくる。

「俺から聞いたって言わなくても、多分バレるだろうね」

と笑う平野くん。


「ほら、慧と文化祭の準備で一緒になった1年の子覚えてる?実行委員の」

「あ、うん」


その子の姿を頭に浮かべながら平野くんの声に耳を傾ける。

「その子に告白されたんだって、それも何回も」

「何回も…?」

とはどういうこと?


「告白されるたびに振ってたらしいんだけど、なかなか諦めてくれないみたいで参ってたよ、慧」


そうだったんだ。

告白されてたなんて全く知らなかった。

それに告白して振られてるのに、あんなに堂々と接せるものなの?


わたしだったら無理だ。


「で、その子がついに慧のバイト先まで来たみたい」

「…へー、それは相当好かれてるんだね」