きっと、奈々ちゃんは平野くんのことを好きになる。

いつかはわからないけど、必ず。

そう思う自信がふつふつとわいてくるから不思議だ。


「そろそろ帰ろっか」

と平野くんの声に保健室を出る。

教室に戻るまでの間、ふと水樹くんのバイトの件が頭に浮かんだ。


「そういえば水樹くん、バイト辞めたんだよね?」

「あ〜…うん」

そう返事をした平野くんの顔が少し曇ったことを見逃さなかった。


「…訳あり…なのかな?」

と遠慮がちに聞いてみる。

「訳ありといえば訳あり、かな?てか理由聞いてないんだ?」

「…うん…」


だって、あの時は理由を聞ける雰囲気じゃなかったから。

「まぁ、慧も隠してるつもりはないと思うから言うけど…」