平野くんは薄く笑うと、奈々ちゃんの姿を思い浮かべているようだった。

その表情はすごく優しくて…

奈々ちゃんのことがほんとに好きなんだな、って思った。


「平野くんは?奈々ちゃんに思い伝えないの?」

「…んー…まだいい、かな」

「そっか」

「それに多分だけど、奈々は俺の気持ちに気づいてると思うから」

「そうなのっ?」


じゃ、もう平野くんのことを意識してるんじゃないかな?

奈々ちゃんだって、平野くんの人の良さには気づいているだろうし。


平野くんの長年の片想いが、通じる時がくるかもしれない!と思うと自分のように嬉しく感じた。


「でも、奈々が俺を好きになるなんて、それこそ俺も自信ないんだけどね」

と俯きながら鼻で笑う平野くんだけど、どうしてかわたしのほうが自信があった。


女の勘?とでもいうのかな…