「もう少し早めに突入しとけばよかったよね。ごめん」


平野くんは申し訳なさそうな表情で見てくる。

「ううん!全然!それにそこまで痛くないから」

と嘘をついた。


本当は結構痛い。

だけど、平野くんにそういう気持ちになってほしくない。

「それより、平野くんどうして?」


どうしてあの場に?

「裏があるって言ったでしょ?俺、大津が柄の悪い連中と絡んでるところを何度か見たことあって、それで今回も何か嫌な予感してたんだよね」

「そうだったんだ…」


もし平野くんが来てくれてなかったら、今頃わたしはどうなってたんだろう?

平手打ち以上のことをされていたかもしれないと思うとぞっとした。


「でも…情けない、よね」

氷の入った袋を頬から離すと、それに視線を落としながらポツリと呟いた。