「まぁ、でも自分の時間が増えたし、それはそれで楽しいよ」

と笑う水樹くんに胸が痛む。

別れたら、こんな些細な情報も入ってこないんだね。


ってそれは当然か。

水樹くんとこうして話すのも文化祭以来とかだし、そもそも話す機会がないんだもんな〜。

「水樹くん、わたしでいいならいつでも話し聞くよ?」

気づけばそんなことを口走っていた。


「あー…うん、ありがとう」


水樹くんは言葉を詰まらせながら笑っていて…

その笑顔に違和感を感じた。


すると「紗良ちゃん、」と腕を掴まれ、気づくと水樹くんの腕の中に。

「み、水樹くん?」

「俺…やっぱり紗良ちゃんが誰かの彼女になるとか無理。そこまで心広くない…」


そう言うと力を強めて抱きしめられる。

「あの時は待つってかっこつけて言ったけど、そんなに長く待てそうにない…だから早く俺の彼女になって」