「っ……」

そこにいたのは奈々ちゃんで…

わたしたちの声が聞こえたのか、階段下から水樹くんと平野くんが姿を見せた。


「奈々?」

そう言ったのは水樹くん。


その瞬間、わたしの中の何かが切れた気がした。

「あの、水樹くんが奈々ちゃんと回りたいって…だから水樹くんと一緒に回ってあげてほしい…です」

「え?」

そう言ったわたしの言葉に驚きの反応を見せた奈々ちゃんは水樹くんに視線を向けていた。


「じゃ、わたしはこれで」


そう言い残しその場を去ると、とにかく走った。

行く当てなんてないから、ひたすら走り続けた。


もう散々だ…

もう…やめたい…


水樹くんを好きでいることを。


気づくと走りながら泣いていて、それは側から見たら相当やばいやつに見えただろう。

だけど、そんなのどうでもよかった。