「ごめんなさいね、ハンカチを汚してしまって」

ジュースを拭いたあと、私たちはそのまま莉菜が座っていた席で一緒にお茶をすることになった。

「いいえ、私も不注意でよくこぼすことがあるので大丈夫ですよ。それより、ケーキありがとうございます」

莉菜はお礼としてケーキをご馳走してくれるという。
"このお店のショートケーキ、美味しいのよ"と言って、莉菜は私の目の前で美味しそうに頬張った。

「とんでもない!助かったわ。ほら、悠真もちゃんとお姉さんに謝りなさい」

「お姉ちゃんごめんなさい…」

悠真くんが申し訳なさそうな表情で、私にそう言った。

「いいんだよ。ちゃんとごめんなさい言えて偉いね。悠真くん、でいいのかな?何歳?」

「6歳。1年生」

事前に調べているから、知ってるけどね。

「じゃあ今年小学生になったばかりだね!しっかりしてるね」

「そんなことないよ。おもちゃ散らかしてお母さんによく怒られるもん。怒ったらお母さん怖いよ」

「こら、悠真~」

そんなやりとりをしながら3人で笑いあう。

悠真くんはとても素直で良い子そうだった。

笑ったときの目もとが、二階堂に似ている。
美形の子供は美形になるんだなあ。

二階堂みたいな不倫を繰り返す男にならないことを祈るばかりだ。