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「あやちゃーん......?」


その人は、こちらを見ずに私を呼んだ。

保健室の座敷わらし兼私の幼なじみ、佐々木梓(ささきあずさ)

さすがに言い方悪かったけれど、梓はいつも私が部活終わるまで保健室で待っていてくれている。本人曰く、心配性なんだって。

いつも私のテーピングを巻き直してくれている。このくらいの時間、保健室の先生は部活を回っているから。


「あず...」

「なに泣いてるの。死ぬほど辛いときですら泣きたくないって意地張ってるのに」


も〜、とため息をつきながらも、丁寧にテーピングを巻き直してくれる。


「ねぇ梓。人は見かけによらないのかもしれない」

「誰の話?」

「幸村先生。着任式でしか見たことないと思うけど、わかる?」

「わかるよ〜あの鉄仮面みたいな人でしょ?」


梓から見ても無表情って印象だったんだ。

確かに、モアイ像ってより鉄仮面って感じかも。