「げ」


驚きのあまり、思わず言葉が漏れてしまった。

もうそこまで気づかれてるとは...

やっぱりSF小説だよこんなの...エスパーじゃん...

そんなことを思いながら、少しだけ先生の方に顔を向ける。


「...適当に見えました?」

「ああ」


即答。

この右腕、肘から下の部分。ジャージを脱げばテーピングだらけ。

そんなの部活で見せられないから、私は常にジャージを着ている。

けれど、卓球場はありえないくらい暑い。競技の特性上、窓を開けて風を入れられない。おまけに高湿度。

みんな汗だくで練習してるのに、私だけ汗のひとつもかいていない。

それはひとえに、この怪我、『腱鞘炎(けんしょうえん)』のため。

腱鞘炎はおもに、腕の使いすぎでなる。適当に練習している私がなるには程遠い怪我なのだけれど。