本当はもう飲めないし、飲みたくもなかった。お酒の美味しさも正直良く分かってない。それよりも朝からずっとはしゃいでいたせいで眠たくて仕方がない。

ゆうちゃんは部屋に来て真っ先にあたしの大好きな邦画のDVDを見つけ出して「これ観たかったんだよー。」と即プレーヤーに突っ込んでいた。
そしてまるで自分の部屋のようにくつろいで、ビールを飲み続けている。想像してた2人きりの雰囲気とは
全然違っていた。

やっぱり本当に暇つぶしで来たのかもしれない。

気持ちが緩んで眠気が増して、あたしはバレないように欠伸をした。こっそりソファの背もたれに身を任せて目を閉じた。ほんのちょっとだけ。そんな風に意識が遠のきかけた時「寝ちゃうの?」とゆうちゃんの声がものすごく近くで聴こえた。
目を開けると目の前にゆうちゃんの顔がある。うわ、と思ったけどもう身動き取れないくらい近くて、それに酔いが回りきっているあたしにはもうどうする事もできない状況だった。

「ベッドで寝る?」

ベッドという単語がなんだか怖くて首を振った。でもちゃんと首、振れてるのかもよく分からない。