「飲みすぎたーーーー。」

ヘラヘラしながらおぼつかない足取りであたしたちは駅へと向かう。
遊園地で1日遊んで、そのまま居酒屋でみんなで飲んだ帰り道。殆どみんな泥酔状態。
前月成人したあたしも調子に乗って慣れないビールを2杯も飲んでしまった。ちゃんと家まで帰れるのかよぎる不安がありつつも楽しい気持ちが勝っている、そんなおかしなテンションだった。
遊園地の最寄りの駅から上り電車に乗り込んで、途中乗り換えで殆どのメンバーが降車する。

「バイバーイ。」

「また来週ねーー。」

手を振って、扉が閉まって、車内に目線を戻すとあたしの前の席に座るゆうちゃんと目があった。

車内は空いていて、他のメンバーはいつの間にか誰もいなくてあたし達は気がついたら二人きりだった。

ゆうちゃんは立ち上がり、あたしの隣に座った。
ニマニマした笑顔で見つめられて、うわぁ…と思った。こんなに近くでこの人の顔を見たのは初めてかもしれない。眠そうな垂れ目の大きな目。ベビーフェイスとはこうゆうものか。

「家、どこ?」

「…仙川。」

あ、なんか良くない雰囲気かも。と咄嗟に思った。

「一人暮らしだったよね?」

「え?」

一人暮らしのあたしは何とこたえていいものか悩みながら目だけで笑ってみせた。確か、もうあと2駅で着いてしまう。