「えぇ?なんでって。あれ!なんか怒ってる?」
ゆうちゃんがとぼけた表情であたしの顔を見る。そして隣にどっしりと座ってきた。また近い距離感。それに少しだけ慣れてきている自分。目の前にゆうちゃんの顔がある。退色していつもよりすこしだけ明るい髪の色が夜なのに眩しく感じる。さっきまで真っ暗な部屋で静かに映画を観ていた平和な時間はもうすっかり消えて無くなってしまった。
「なんであたしのところに来るの。」
必死で忘れようとしていたのに。消しては現れてくるゆうちゃんの残像と甘い声と、あたしはずっと闘っていたのに。
「だって可愛いんだもん。」
「………。」
「さやは可愛い…。」
ゆうちゃんの喉から吐き出されたウィスパーボイスが耳から入り込み脳を侵食していく。
ずるい。ゆうちゃんのたった一言で大事な何かが解けて行ってしまう。ゆうちゃんは、ずるいよ。
目の前にゆうちゃんの顔がある。キスする前に流れていくこの一瞬の時間すら、溶ろけるようにゆうちゃんは楽しんでいる。甘く追い詰められて、あたしはもう自分の気持ちから逃げる理由がどこにも見当たらなくなってしまった。
「さや。」
ゆうちゃんがあたしの名前を呟く。そしてそのまま唇を塞いだ。あたしは諦めてゆうちゃんの背中に腕をまわす。多分、はじめて名前を呼ばれた。知ってたんだ、あたしの名前。あたしはそんな事を考えながらゆうちゃんのキスに応えていた気がする。
ゆうちゃんがとぼけた表情であたしの顔を見る。そして隣にどっしりと座ってきた。また近い距離感。それに少しだけ慣れてきている自分。目の前にゆうちゃんの顔がある。退色していつもよりすこしだけ明るい髪の色が夜なのに眩しく感じる。さっきまで真っ暗な部屋で静かに映画を観ていた平和な時間はもうすっかり消えて無くなってしまった。
「なんであたしのところに来るの。」
必死で忘れようとしていたのに。消しては現れてくるゆうちゃんの残像と甘い声と、あたしはずっと闘っていたのに。
「だって可愛いんだもん。」
「………。」
「さやは可愛い…。」
ゆうちゃんの喉から吐き出されたウィスパーボイスが耳から入り込み脳を侵食していく。
ずるい。ゆうちゃんのたった一言で大事な何かが解けて行ってしまう。ゆうちゃんは、ずるいよ。
目の前にゆうちゃんの顔がある。キスする前に流れていくこの一瞬の時間すら、溶ろけるようにゆうちゃんは楽しんでいる。甘く追い詰められて、あたしはもう自分の気持ちから逃げる理由がどこにも見当たらなくなってしまった。
「さや。」
ゆうちゃんがあたしの名前を呟く。そしてそのまま唇を塞いだ。あたしは諦めてゆうちゃんの背中に腕をまわす。多分、はじめて名前を呼ばれた。知ってたんだ、あたしの名前。あたしはそんな事を考えながらゆうちゃんのキスに応えていた気がする。