「え…?」

すごい、女の子達の歓声。この子達ってみんなゆうちゃんのファンなの?
戸惑ったままのあたしはそのまま置き去りにされた。

始まったイントロを合図に、明るくなる照明と、衣装とメイクでバッチリきめたゆうちゃんが飛び込んでくる。
見た事のないキラキラしたゆうちゃんが歌い出す。聴きやすくてちょっと甘い芯のある歌声。
あたしはその歌声に聴き入りながらも、興奮しっぱなしでサイリウムを振り回す観客の女の子たちの中でどんどんと冷静になっていく自分を感じていた。

ステージのゆうちゃんは、まさに『プロ』って感じで堂々としている。みんなで遊んでいる時のゆうちゃんはどこにも見当たらない。客席では曲に合わせ同じ方向にサイリウムが揺れている。とても綺麗で眩しくて。

あぁ、やっぱり夢中にならなくて良かった…。この人があたしだけの人になる日なんて絶対に来ない。今気づけて本当に良かったんだ。

あたしは何故か、ホッとしていた。