「ふっ、はぁ……」


何度か啄まれた唇がゆっくりはなれる。


「大丈夫。大丈夫だから、落ちつけ」


頭をぽんぽんされて、ぎゅうっと抱きしめられた。


「ほ、ほんとに?
病院行かなくて、大丈夫なの……?」


「ん、ぜんぜん平気。ちょっとびっくりしただけだから。つか、原因俺だし」


そうだ……。

ハッと目が覚めたとき、たしかすぐ目の前に渚のドアップがあった気がする。


「あ……もしかして、起こそうとしてくれてた?」

「んー、ちょっとちがう」


「ちがうの?」


「大まかあってるけど、キスしたら起きるかなーって」


「は……はあ!?なっ、なんでキスっ、」


「昨日の夜、疲れて特訓できなかったし、また余裕なくして襲っちゃったから、労わろうと思って」


「その方向ぜったいちがう……!」


キスで労るって聞いたことないよ!?

てかたぶんだけど、労るってそういうことじゃないと思う!


「つーか俺がキスしたい」


「き、昨日たくさんしたよ……?あんなに、激しい……」


「なんかむぎの口から激しいって聞くと、めちゃくちゃ興奮するんだけど」


「なっ、なにバカなこと言ってんの!」


「んーでも、」


「ひゃっ……!」


「さっき俺が髪とか頬とかなでたとき、もっとって、擦り寄ってきたじゃん」


昨日の夜も。


なんてピトッと頬に当てられた手の甲から、じんわり渚の体温を感じられて、みるみるうちに体が火照っていく。