ただの他人ならまだしも。
そこにいたのは同じクラスの鳳と朝日。
鳳はよく知らない。
けど朝日の方はイケメンとか、無表情だけど女子に優しいとかでよく告白されてるってのは聞いたことがある。
けどその反面、たくさんの女子を泣かせてるってことも。
倒れそうになったむぎを、ただ純粋に受け止めようとしてくれてたのはわかってた。
でもだめ。
だめなんだ。
彼女のそばに男がいると思うと。
いくらそんな気持ちがないって思っても。
もしかしたら体質のことを知られて、彼女が悲しむことがあるかもしれないって考えてしまう。
あまり話したことのない、よく知らない鳳や朝日のことを悪く言うわけじゃない。
けど隣に女子校があるってだけで、下心を持って近づくやつだったり、表立って言ってなくても、そんなことばっか考えてるやつはうちに大勢いる。
いくら俺がそばにいて、隣にいるとはいえ。
今後むぎが、碧や俺以外のうちのやつと関わることがないとは言いきれない。
悲しませたくない。
泣かせたくないんだ。
ずっと抱えてきた、苦しんできた秘密のことで、もう二度と。
だからうちのやつに知られるわけにはぜったいにいかない。
そのために女子校を選んで、俺への気持ちを我慢してまで、つらい体質を1人で抱え込もうとしていたから。
俺以外の男のことで泣くなんてこと、絶対にさせない。