「土方知り合い?」

「知り合いもなにも同じクラスだよ!
なあ、渚!」


「……」


「な、なぎさ?」


4人に見られてめちゃくちゃはずかしいんだけど……。

私の肩に頭を乗せたまま、なにも言わない渚。

電話ずっとつながったままだったし、私の声も聞こえていたはず。


もしかしたらあのまま私が朝日くんにぶつかって、あの症状が出るかもって。

心配、かけちゃったよね……。


「むぎ、今日はもう解散しよ」

「え……」

「そうだな。時間も遅いしさ」


「わ、わかった……」


気使わせちゃった……。

なにも言わず、ただ大丈夫って言ってくれるふたりに感謝しかない。


「あの、」

「はっ、はい……っ」


「ごめんね、さっきは驚かせちゃって。こいついつ
もこんな感じで天然っていうか、マイペースっていうか。ちょっとズレてて」

「あっ、い、いえ!」


きっとあんなふうに水着を持ったことを言ってるんだと思う。


「ほら、朝日も」

「……ごめん」

「こ、こちらこそ……っ」


ずっと無表情だったのに、急に申し訳なさそうに謝られて、私も慌てて頭を下げる。


家族や渚以外の男の人にふれられるのは初めてで。

元々大げさに驚いちゃった私が悪いんだし、


渚にうしろから肩を引かれる前、とっさに私の方へ手を伸ばして受け止めようとしてくれたのは見えたから。

朝日くん。


変わらずこっちを見てるだけだけど、髪からのぞくブラウンの瞳に怒りはなくて。

きっと口数が少ないだけで、優しい人なんだと思うから。


「これ……」

「あっ……えっと、迷惑かけちゃって、ごめんなさい。ありがとうございました」


「いや……」


そっと差し出されたそれを、今度はちゃんと手と手がふれないように受けとる。


「じゃ、じゃあ、ごめんね、ふたりとも」


「気にしないで?
また明日ね」

「気ぃつけてなー!」


「な、なぎさ、帰るよ……!」



そう言って肩をポンポンすれば、渚はやっと顔をあげて、でも黙ったまま私の手をぎゅっと握って。


「わるい、ふたりとも……朝日」


「……」


「サンキュ」