「なぎ、さ……」
ゆっくりゆっくり目を開ければ、私の顔をのぞきこむホッと安堵した目が飛び込んできて。
「よかった、間に合って……」
私にしか聞こえないくらいの声のあとで、ぎゅっとうしろから抱きしめられた。
「もう、置いてくなよ渚ー!!
どこいったかまじで焦った……って、あれ。鳳(おおとり)と、朝日(あさひ)じゃん」
「え、久遠と、土方?
てか、その制服花柳だよね?」
「そっちこそ、水篠の?」
そういえば……。
土方くんと、那咲、私の正面にいる人の隣にいた男子の会話で今気づいた。
この人たち、水篠の制服着てる……。
しかも渚たちと同じ2年。
ネクタイの色が赤だから、そうだ。
それに……。
「こんなイケメン、水篠にいたんだ……」
隣でぼそっと那咲がつぶやいた。
私の袋を拾ってくれた人。
つやつやのダークブラウンの髪と、モデルみたいに整った容姿、高い身長。
隣の男子みたく優しそうなにこやかな感じじゃなくて、気だるげな感じ。
プラス無表情だけれど、不思議とこわい感じはなくて。
どうやら黒髪でにこにこしてる人が鳳くん、ダークブラウンの髪で気だるげな感じなのが朝日くん、らしい。