「もうそろそろ着くから」
「うん……」
そう言ったとき。
ドンッ!!
「っ!?」
「あっ、すいません!」
たまたま後ろから走ってきた女の人と私の背中がぶつかって、手から水着の入った袋が滑り落ちた。
「むぎ、大丈夫?」
「う、うん、へいき、」
ちょっとびっくりはしたけど……。
「あの、これ……」
「あ……あ、ありがとうございま……っ!?」
立ち上がろうとして、たまたま通りかかったらしい人に差し出されたそれを受け取ろうとしたとき。
「っ!?」
一瞬手がふれたことに驚いてビクッとしてしまって。
そのせいで、水着の上部分が袋から落ちて床に。
「……」
しかもその人が肩紐の部分を持ったせいで、水着がぷらんと情けなく下に垂れ下がった。
「み、見ないでくださいっ!」
ぼぼぼっと火照る顔も、無表情でしかも男の人に水着を持たれたこともはずかしくて、バッと勢いよく、その人から取ろうとしたとき。
「あ……」
「っ!?」
あ、やばい……っ。
ぶつかる……!
スローモーションで目の前の人へと倒れる私の体。
「むぎ!」
隣で那咲の叫ぶような声が聞こえて、ぎゅっと目をつぶったとき。
ドサッ!
「っ……?」
「っ……大丈夫、か?」