「渚たちはなにしてたの?」
「んー?碧が日焼け止めほしいって言うから薬局行ってた」
「えっ、土方くん、日焼け止め使ってるの!?」
「らしいよ。なんか美容?に気使ってるらしい」
「そ、そうなんだ?」
ふふっ、たまにはこうやって通話越しもいいな……。
電話の向こうで渚と、渚の隣で歩く土方くんの声が聞こえる。
「えっ、土方もあのバンド好きだったんだ!?」
「そー。クラスのやつに勧められて聞いてみたらめっちゃハマってさ」
「えー、ならさならさ!
この間出た新曲知ってる?」
「知ってる!オレもう100回は聞いたもん」
「それは多すぎ」
「碧のやつ、森山が好きだからって今話してるバンドの曲聞き始めたんだよ」
「そうなんだ!?」
土方くんの行動力すごい……。
「むぎは?」
「え?」
「お目当てのもの、買えた?」
「う、うん……」
元々買うつもりはなかったんだけどね。
「そ、そういえばさ!」
「ん?」
これ以上話を深堀りされたくなくて、話題を変える。
「渚も……その、デート、したかったの?」