「……」

「……」


「もしかしなくとも、男子ふたり、なんか勘違いしてるよね?」

「うん、私もそう思う……」


「だよねえ、あの土方の反応。
ぜったい下着だって考えてるでしょ!」


やらし〜!!

なんて笑う那咲に、私はちょっと苦笑い。

下着ではないけど、下着みたいなものだから、いくら彼氏とはいえ選ぶところ見られるのははずかしい。


こんなの着るんだーとか、こんなの好きなんだーとか。


だって今私たちが見てるのは……。


「うわぁ、いろいろある!
やっぱテンションあがるわ〜!」


ピンク、水色、白、黒。


花柄、ストライプ、無地、グラデーション。


形もワンピース、ハイウエストやオフショルダーからいろんなのが店内にズラっと並んでて。


「久遠ならやっぱ定番のビキニかな?」

「えっ、なんでここで渚!?」


そう、ここはレディースの水着専門店。


那咲が見に行きたいって言ったのは水着のことで、那咲のうちは兄弟が多いから、毎年家族でプールに行ってるんだって。


それで毎年買い換えるのが楽しみなんだとか。


けどどうしてここで渚が出てくるの!?

水着買いにきたの、私じゃないよ!?


「えー、だって、部屋にプライベートプールついてるんでしょ?だったらふたりで入る機会あるかもじゃん」


「それは……」



人混みは得意じゃないけど、プライベート空間でならいっしょに入れたら楽しいかもって思ってはいたけど……。


「わ、私はいいよ!」


改めてふたりきりの中でプールに入るとか、それこそやらしくない!?