「飲まねーの?」

「飲む、けど……」

「……」

「……」


那咲と土方くん。

ふたりともこのやりとりを黙って見ていて、ちょっと飲みづらいっていうか……。


「なーに気にしてんの」

「へ?」


すると、ズズーとジュースをすすった那咲がケロリとしてひとこと。


「いっつも直接ちゅっちゅ、なんならぶっちゅーやってんでしょ?関節キスなんてどうってことないんじゃないの?」


「はあ!?」


「ちょっ、森山!なに言ってんの!」


土方くん……なんであなたも顔真っ赤にしてるんですか……。

見た目遊んでるふうに見えるのに、中身はピュアッピュアなところ、ほんといいと思うよ……。


「あ、なら、あたしもやればはずかしくないんじゃない?」

「え?」

「は?」


那咲はなにを言って……。


「土方!土方のやつ、あたしにもちょーだい?」

「えっ!?」

「アンタのそれ、マンゴーよね?あたし正直そっちも飲んでみたくて。よかったら1口くれない?」


「ごふっ!」


「うわっ、なにっ!?」


そりゃあ、好きな子にそんなこと言われたら、変なところにジュースが入ってもおかしくない。


「も、森山は、いいの……?」

「え?なにが?」

「その……オレと、」


「なに?はっきり言って?」

「うっ……だから、その、オレと回し飲みとか!!」


おおっ、土方くん!!

そんなどストレートに!!


「え?べつにいいけど。
だって土方だし」


「っ〜〜!!」


ひええええ!

那咲、男前すぎる!!

そして土方くん!失神しそう!


なんで動揺してるの?って首かしげてる辺り、素で言ったのはまちがいない。

元々那咲は、自分の恋愛にはあまり興味ないって感じで、彼氏がいたって話も聞いたことない。


いろいろアドバイスしてくれたし、モテるから、てっきり恋愛マスターなのかと思ってたけど……。


まさか自分の恋愛になると、ここまで鈍感だなんて。


だから那咲にはそういう意味があって言ったんじゃないと思うけど、

どストレートにカウンターって絶対こういうことだよね……。